86 歳の女性。発熱を主訴に来院した。
現病歴 : 2日前に長男が患者に連絡した際「風邪をひいている」との訴えがあった。本日長男が連絡した際に電話がつながらなかったため長男が訪問したところ、発熱があり食事も摂れず布団の中でぐったりしていた。長男に付き添われて来院した。
既往歴 : 70 歳から型糖尿病で内服加療中。82 歳時に脳梗塞を発症、後遺症による左下肢不全麻痺がある。
生活歴 : 1人暮らしをしており、近所に住む息子が週 2〜3 回訪問していた。
家族歴 : 妹が脂質異常症。
現 症 : 意識レベルは GCS 14(E4V4M6)。身長 150 cm、体重 38 kg。体温 38.2℃。脈拍 100/分、整。血圧 120/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO₂ 99 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腋窩は乾燥している。体表に外傷は認めなかったが、左大転子部に発赤を認める。
検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖2+、潜血(-)。血液所見:赤血球 490 万、Hb 16.0 g/dL、Ht 47 %、白血球 9,000(好中球 60 %、リンパ球 40 %)、血小板 36万。血液生化学所見:尿素窒素 56 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL、随時血糖360 mg/dL、HbA1c 8.0 %(基準 4.6〜6.2)、Na 130 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 91mEq/L。CRP 0.3 mg/dL。頭部 CT で陳旧性脳梗塞を認める。
この患者について正しいのはどれか。
a. 高張性脱水である。
b. 血漿浸透圧は低下している。
c. 尿比重は低いことが予測される。
d. ケトアシドーシスの存在が予測される。
e. 尿素窒素/クレアチニン比が低下している。
採点除外問題。ケトアシドーシスと判断するには情報が足りない。一般尿検査でケトンを表記すると問題が簡単になりすぎるのですが・・・
糖尿病と脱水を認める。糖尿病性ケトアシドーシスの可能性あり。
a Naは130mEq/lなので高張性脱水ではない。
b 血漿浸透圧は高い。
c 尿糖陽性であり尿比重は高い。
d 経過よりケトアシドーシスの可能性は高い。
e 上昇してます。
入院加療を行うことになった。左大転子部の皮膚変化の写真を別に示す。同部位の病変について行うべき対応はどれか。
a. 皮膚消毒
b. 皮膚生検
c. 抗菌薬投与
d. 離床の促進
e. NSAID 投与
褥瘡なので、除圧します。
10 日間の入院加療によって全身状態が改善したため退院を検討している。入院前は2型糖尿病治療のため、月1回本人が1人で外来受診していた。しかし、現時点で歩行には介助が必要であり、1人で外来を受診するのは難しいと判断してい る。
退院に向けての本人および家族への説明で適切なのはどれか。
a. 「外出は控えるようにしてください」
b. 「自宅に帰ると認知機能が低下します」
c. 「要介護認定の申請をご検討ください」
d. 「高次医療機関への転院を検討しましょう」
e. 「HbA1c を 6.0 % 未満にコントロールする必要があります」
常識的に考えましょう。