42 歳の男性。息切れを主訴に来院した。
現病歴 : 先週から労作時に息切れがしていた。食欲も低下し仕事も休んでいたが、息切れが次第に悪化したため来院した。
既往歴 : この1年間で帯状疱疹を3回発症し、いずれも抗ウイルス薬で治療した。
生活歴 : 1人暮らし。喫煙は 10 本/日。飲酒は機会飲酒。
社会歴 : 職業はコンサルタント会社勤務。
家族歴 : 父は肝癌で死亡。
現症 : 意識は清明。身長 175 cm、体重 44 kg。体温 37.8 ℃。脈拍 100/分、整。血圧 124/60 mmHg。呼吸数 32/分。SpO₂ 92 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。舌に腫瘤状病変を認める。心音に異常を認めない。両側上胸部で吸気終末に fine crackles を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
検査所見 : 血液所見:赤血球 390 万、Hb 10.0 g/dL、Ht 32 %、白血球 8,200、CD 陽性細胞数 35/μL(基準 800〜1,200)、血小板 12 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、総ビリルビン 1.0 mg/dL、直接ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 22U/L、ALT 16 U/L、LD 380 U/L (基準 120〜245)、CK 30 U/L (基準 30〜140)。CRP 7.3 mg/dL、抗 HIV 抗体スクリーニング検査陽性、Western blot 法によるHIV-1 抗体確認検査陽性。喀痰抗酸菌染色は3回陰性。クリプトコックス血清抗原陰性。動脈血ガス分析(room air):pH 7.48、PaCO₂ 30 Torr、PaO2 68 Torr、HCO₃⁻ 24 mEq/L。胸部 CTを別に示す。
呼吸障害の主たる病態として考えられるのはどれか。
a. 換気血流比不均衡
b. 呼吸筋疲労
c. 上気道閉塞
d. 肺拡散能障害
e. 肺胞低換気
肺病変の確定診断のために気管支肺胞洗浄を行った。得られた検体の病理診断をする際に、最も有用な染色法はどれか。
a. Gram 染色
b. Grocott 染色
c. H-E 染色
d. Papanicolaou 染色
e. 墨汁染色
真菌感染であるのでグロコット染色。
口腔内の病変を別に示す。舌の隆起性病変の原因として最も考えられる疾患はどれか。
a. 白板症
b. 乳頭腫
c. Kaposi 肉腫
d. ヘルペス性舌炎
e. Plummer-Vinson 症候群
カポジ肉腫は、ヘルペスウイルス8型により引き起こされる血管腫瘍である。
HIV感染者に生じる腫瘍性疾患では、悪性リンパ腫に続いて頻度が高い。