70 歳の女性。発熱および左殿部痛のため救急車で搬入された。

現病歴 : 1か月前から左殿部に圧痛を伴う発赤が出現した。また、しばしば腟から排膿することがあった。10 日前から発熱が出現し、以後は食事摂取量が少なかったという。左殿部の痛みにより歩行も困難になったため救急車を要請した。

既往歴 : 10 年前に人工物による子宮脱の手術を受けた。

生活歴 : 専業主婦。

家族歴 : 父が糖尿病、高血圧症。

現症 : 意識レベルは JCSⅠ-2。身長 145 cm、体重 46.6 kg。体温 39.0 ℃。心拍数 92/分、整。血圧 108/76 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 98 %(マスク5L/分酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左殿部を別に示す。同部に強い圧痛を認める。内診で腟後壁に瘻孔と排膿が観察され、膿は悪臭である。直腸指診では異常を認めない。

検査所見 : 血液所見:赤血球 403 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 35 %、白血球 1,800、血小板3万、PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)、血清 FDP 26μg/mL(基準 10 以下)。血液生化学所見:総蛋白 4.6 g/dL、アルブミン 1.7 g/dL、総ビリルビン 2.4mg/dL、AST 48 U/L、ALT 47 U/L、LD 216 U/L (基準 120〜245)、γ-GT 40 U/L(基準8〜50)、アミラーゼ 17 U/L(基準 37〜160)、CK 72 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 32 mg/dL、クレアチニン 2.1 mg/dL、血糖 215 mg/dL、HbA1c 9.0 %(基準 4.6〜6.2)、 Na 132 mEq/L、 K 3.8 mEq/L、 Cl 105 mEq/L。 CRP 19 mg/dL。

殿部 CT の水平断像を別に示す。


病原微生物として可能性が高いのはどれか。2つ選べ。

a. Candida albicans

b. Chlamydia trachomatis

c. Clostridioides difficile

d. Escherichia coli

e. Peptostreptococcus anaerobius

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緊急に行うべき治療はどれか。2つ選べ。

a. 高圧酸素療法

b. 抗菌薬投与

c. 抗凝固療法

d. 腟瘻孔閉鎖

e. デブリドマン

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この患者において重症度判定に有用でないのはどれか。

a. ALT

b. 白血球数

c. 血小板数

d. 総ビリルビン

e. クレアチニン

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)