問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
64歳の男性。股関節痛を自覚し、会社の診療所で処方された鎮痛薬を不定期に内服していたが痛みが改善しないため受診した。
心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝.脾を触知しない。表在リンパ節は触知しない。
血液所見:赤血球 353万、Hb 11.5 g/dL、Ht 34%、白血球 3,200、血小板 16万。血液生化学所見: 総蛋白 10.5 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、IgG 5,425 mg/dL(基準 960〜1,960)、IgA <20 mg/dL(基準 110〜410)、IgM <10 mg/ dL(基準 65〜350)、総ビリルビン 0.7 mg/dL、AST 19 U/L、ALT 10 U/L、LD 178 U/L(基準 120〜245)、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、尿酸 4.7 mg/dL、Na 141 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 108 mEq/L、Ca 9.8 mg/dL。エックス線写真で両股、胸椎および腰椎に多発する溶骨性病変を認める。両股関節エックス線写真、骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本、血清蛋白分画、免疫電気泳動検査写真を別に示す。
この患者の治療として適切でないのはどれか。
a. デキサメタゾン
b. 自家末梢血幹細胞移植
c. ビスホスホネート製剤
d. プロテアソーム阻害薬
e. 多発性骨病変に対する放射線照射
多発性骨髄腫の症例。
関連画像:頭部レントゲンでのpunched-out lesion