43歳の男性。熱傷のため救急車で搬入された。
現病歴: 揚げ物の調理中に着衣に着火し、職場の同僚が救急要請した。
既往歴: 高血圧症と脂質異常症について食事療法中。
生活歴: 飲食店の調理場で働いている。喫煙は10本/日を10年間、飲酒はビールを350mL/日。妻と2人暮らし。
家族歴: 両親が高血圧症。
現症: 意識レベルはJCSⅡ-10。身長 170 cm、体重 70 kg。体温 37.1 ℃。心拍数 90/分、整。血圧 90/60 mmHg。呼吸数 36/分。SpO₂ 93% (リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下) 。頭髪の前面と眉毛が焦げている。顔面、両上肢および胸腹部に、38%TBSA〈totalbody surface area〉のⅡ~Ⅲ度熱傷を認める。口腔と咽頭の粘膜には煤が付着していた。嗄声が認められる。
検査所見: 血液所見:赤血球 550万、Hb 17.0 g/dL、Ht 49%、白血球 7,200、血小板 30万。血液生化学所見:総蛋白 6.1g/dL、AST 45U/L、ALT 17 U/L、LD 499 U/L (基準 120~245)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL、Na 132 mEq/L、K 4.4 mEq/L、CI 99 mEq/L。
搬入時の輸液として適切なのはどれか。
a. 10%食塩液
b. 新鮮凍結血漿
c. 5%ブドウ糖液
d. 乳酸リンゲル液
e. 25%アルブミン液
熱傷による血管透過性亢進→ショック状態。
細胞外液の補充が必要。
気道熱傷と診断し、気管挿管を行った。換気を行った際、気管内に正しく挿管が行われていないと判断されるものはどれか。
a. 呼気にCO₂が検出される。
b. 胸郭の動きが左右対称である。
c. 心窩部で送気音が聴取される。
d. 両側肺野で同等の呼吸音が聴取される。
e. 気管チューブ内壁に呼気時の曇りがみられる。
心窩部で送気音は食道挿管が考えられる。