28歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴: 自室内のベッドで仰向けに倒れているのを友人が発見し、呼びかけに反応が乏しいため救急車を要請した。友人とはその3時間前に電話にて口論となり「死にたい」などと話した後に連絡が取れなくなったという。救急車到着時、自室内の戸棚に錠剤の空包が多数あった。
既往歴: うつ病の診断で3か月前から三環系抗うつ薬とベンソジアゼピン系睡眠薬を服用中。1か月前にも過量服薬による意識障害で他院に緊急入院している。
生活歴: 喫煙歴と飲酒歴はない。仕事は事務職で半年前に部署が変わり、ストレスが多いと感じていたという。
家族歴: 特記すべきことはない。
現症: 意識レベルはJCSⅢ-100。身長 158 cm、体重 45 kg。体温 36.7℃。心拍数 108/分、整。血圧 108/60 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 91% (リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下)。舌根沈下が強く、いびき様の呼吸をしている。皮膚は やや乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。瞳孔径は両側 6.0 mm正円で、対光反射は両側で遅延している。頸静脈の怒張は認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音はやや弱い。四肢に麻痺はなく、腱反射は正常である。
心電図は洞調律で不整はないが、QRS幅が広がりQT間隔の延長を認める。ST-T変化は認めない。
直ちに行うべき処置はどれか。
a. 胃洗浄
b. 気管挿管
c. アトロピン静注
d. フロセミド静注
e. プレドニゾロン静注
抗うつ薬と睡眠薬のオーバードーズ症例。三環系抗うつ薬によるQT延長も認めている。
意識障害と舌根沈下あり。気道閉塞の可能性あり。気管挿管必要。
診察により肺炎の合併が疑われた。誤嚥性肺炎の所見と合致しないのはどれか。
a. 胸郭打診による濁音
b. 胸壁触診による皮下握雪感
c. 視診による口腔内の吐物残渣
d. 聴診によるcoarse cracklesのcracklesの聴取
e. 聴診による呼吸音の減弱
気胸等による皮下気腫で認める所見である。