75歳の男性。発熱、腹痛および下痢のため救急車で搬入された。
現病歴: 10日前から左下腿蜂裔織炎のために入院して抗菌薬の点滴を行い、改善したため抗菌薬を内服投与に切り替えて4日前に退院した。2日前から発熱、腹痛および1日5回以上の水様下痢が出現した。経口摂取と体動が困難となったため同居する妻が救急車を要請した。退院後に食中毒の原因となりうる食物の摂取歴はない。周囲に同じ症状の人はいない。
既往歴: 50歳台から高血圧症で降圧薬を服用中である。66歳時に2型糖尿病と診断され1年前からインスリン治療を行っている。
生活歴: 妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴: 兄が糖尿病で治療中である。
現症: 意識は清明。身長 168 cm、体重 73 kg。体温 38.6 ℃。心拍数 120/分、整。血圧 136/70 mmHg。呼吸数 20/分。SpO₂ 96 % (room air)。皮膚のツルゴールは低下している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常は認めない。口腔内は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で肝・脾を触知しない。下腹部に圧痛があるが反跳痛はない。腸雑音は充進している。四肢は下腿に発赤や熱感を認めない。
検査所見: 血液所見: 赤血球 490万、Hb 14.3 g/dL、Ht 42%、白血球 18,200 (好中球 84%、好酸球 1%、単球 3%、リンパ球 12%)、血小板 20万、血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 0.4 mg/dL、AST 30 U/L、ALT 38 U/L、尿素窒素 40mg/dL、クレアチニン 1.8mg/dL、尿酸 9.6 mg/dL、血糖 158 mg/dL。CRP 4.3 mg/dL。
診察にあたり誤っている感染予防策はどれか。
a. 個室での診察
b. 直腸診実施時のゴーグルの着用
c. 入室時のデイスポーザブルガウンの着用
d. 便検体採取時のサージカルマスクの着用
e. 診察後の次亜塩素酸ナトリウムによる手指衛生
クロストリジウム・ディフィシル菌による偽膜性大腸炎の症例。
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性のため、皮膚炎の原因となる。
次亜塩素酸ナトリウムは環境消毒に用いる。
便を用いた検査のうち、診断に最も有用なのはどれか。
a. 脂肪染色
b. 潜血
c. 虫卵
d. 毒素検出
e. 培養
CDトキシン検査のことです。