問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
生後10時間の男児。在胎39週、体重2,960g、Apgarスコア7点(1分)、8点(5分)で出生した。助産師がチアノーゼに気づき医師に報告した。出生時にはチアノーゼに気づかなかったという。
体温36.9℃。心拍数128/分。呼吸数38/分。SpO2(room air)76%(上肢)、75%(下肢)。高濃度酸素を投与してもチアノーゼは持続した。心エコー検査では4つの心腔が確認されるが、右心室から肺動脈への駆出血流は確認できない。動脈管から肺動脈に流入している少量の血流を認めた。
この児に適切な初期対応はどれか。
a. 利尿薬の投与
b. ドパミンの投与
c. ジゴキシンの投与
d. 高濃度酸素の継続
e. プロスタグランディンE1の投与
心エコー検査で右心室から肺動脈への駆出血流が確認できないこと、動脈管からの少量の血流が肺動脈に流入していることから、肺動脈閉鎖症や肺動脈狭窄症が考えられる。
この場合、動脈管を開存させて肺血流を維持することが重要である。プロスタグランディンE1は動脈管を開存させる薬剤であり、肺血流を確保し、酸素化を改善するために使用される。