20歳の男性。動悸と頭痛を主訴に来院した。

現病歴:17歳の時から時々動悸と頭痛を自覚していた。本日、知人の引っ越しを手伝うため家具を運ぼうとしたところ、動悸と激しい頭痛が生じ、内科を受診した。

既往歴:大学入学時の健康診断で血圧高値を指摘された。

生活歴:大学生。喫煙歴、飲酒歴はない。

家族歴:父が高血圧症で治療中。

現 症:意識は清明。身長 172cm、体重 55kg。体温 36.3℃。脈拍 132/分、整。血圧 192/110 mmHg。呼吸数 24/分。著明な発汗を認める。顔面は紅潮している。四肢に冷感を認める。胸腹部に異常を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)。血液所見:赤血球 463万、Hb 13.2 g/dL、Ht 40%、白血球 5,800、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 8.8 g/dL、AST 24 U/L、ALT 14 U/L、LD 183 U/L(基準 120〜245)、尿素窒素 17 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 7.2 mg/dL、血糖 101 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/dL、Cl 100 mEq/L。CRP 1.2 mg/dL。


入院し精査と治療を行うことになった。

この時点で患者に対して医師が説明する事項で省略できるのはどれか。

a. 現在の病状

b. 現在の診断名

c. 研究段階の医療の概要

d. 緊急に行う処置の概要と危険性

e. これから行う検査の概要と危険性

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入院後、以下の検査結果が得られた。

入院後検査所見:TSH 1.76μU/mL(基準0.2〜4.0)、FT3 3.6pg/mL(基準2.3〜4.3)、FT4 1.4ng/dL(基準0.8〜2.2)、アルドステロン6ng/dL(基準5〜10)、血漿レニン活性2.0ng/mL/時間(基準1.2〜2.5)、アドレナリン120pg/mL(基準100以下)、ノルアドレナリン1,200pg/mL(基準100〜450)。尿中VMA 18mg/日(基準1.3〜5.1)。腹部超音波検査で左側腹部に径2cmの腫瘤像を認める。

経静脈的降圧薬で降圧がみられたのち、最初に投与すべき経口降圧薬はどれか。

a. α遮断薬

b. アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

c. カルシウム拮抗薬

d. β遮断薬

e. ループ利尿薬

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)