問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
7 歳の女児。就学してから 2 か月間、教師や児童と会話をしないことを指摘され、心配した両親に連れられて来院した。幼稚園でもほとんど発語はなかったが、身振りでコミュニケーションはとれていた。幼少時から現在まで、家族とは普通に会話しており、知的な遅れは目立たない。神経診察を含む身体診察に異常を認めない。
考えられるのはどれか。
a. 吃音症〈小児期発症流暢症〉
b. Tourette 症候群
c. 学習障害
d. 選択緘黙
e. 素行症
a. 吃音症(小児期発症流暢症)は、流暢さや音節のリズムに影響を与える言語の問題です。しかし、この症例の子どもは家族とは普通に会話できるため、吃音症は考えにくい。
b. Tourette症候群は、運動性チックや発声チックが特徴ですが、この子どもにはチックの記述がなく、Tourette症候群の可能性は低い。
c. 学習障害は、読み、書き、数学のスキルなど、特定の学習領域に困難がある状態です。この症例では、学習障害が原因とは考えにくい。
d. 選択緘黙は、特定の状況下(例えば学校や地域社会)でのみ発話を控えるが、他の状況(例えば家庭内)では正常に会話できる状態を指す。この症例は選択緘黙の特徴に合致している。
e. 素行症は、反社会的行動や規範に反する行動が特徴ですが、この症例では素行問題についての言及がありません。