58 歳の男性。胸痛を主訴に救急車で搬入された。

現病歴:数日前から労作時や夜間就寝時に胸部圧迫感があったが、約 30 分で治まるため様子をみていた。本日、草野球の試合に出て活躍していたが、突然、強い胸痛が出現したため救急車を要請した。

既往歴:2 年前から高血圧症で降圧薬を内服している。

生活歴:妻と 2 人暮らし。会社員で営業の仕事をしている。

家族歴:父が高血圧症。

現症:体温 37.2 ℃。 心拍数 108/分、整。血圧 78/58 mmHg。呼吸数24/分。SPO₂ 99 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。顔面蒼白で冷汗を認める。心音は微弱で軽度の拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。

検査所見:血液所見:Hb 10.2 g/dL、白血球 10,100、血小板 15 万。血液生化学所 見:CK 230 U/dL(基準 30~140)、CK-MB 20 U/L(基準 20 以下)、尿素窒素25 mg/dL、クレアチニン 1.1 mg/dL。CRP 3.2 mg/dL。心筋トロポニン T 迅速検査陰性。心電図と心エコー検査を施行した後、胸部造影 CTを行った。


この患者で考えられるのはどれか。2 つ選べ。

a. 急性心膜炎

b. 急性心筋梗塞

c. 収縮性心膜炎

d. 急性大動脈解離

e. 心タンポナーデ

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この患者の心エコー検査で認められる所見はどれか。

a. 下大静脈の虚脱

b. 拡張期の右室の虚脱

c. 収縮期の右房の拡大

d. 上行大動脈基部の狭窄

e. 下大静脈径の呼吸性変動の増加

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この患者への対応で最も適切なのはどれか。

a. 電気的除細動

b. β 遮断薬の静注

c. 人工血管置換術

d. 経皮的冠動脈ステント留置術

e. 大動脈ステントグラフト内挿術

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)