問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 胸腔穿刺
b. 低体温療法
c. 浸透圧利尿薬投与
d. 乳酸リンゲル液大量投与
e. 非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉
この患者の症状と所見は、外傷性緊張性気胸を強く示唆している。緊張性気胸は、空気が胸腔内に溜まり続け、肺を圧迫し、さらに心臓や大血管を圧迫するため、迅速な処置が必要である。
直ちに行うべき治療は「a. 胸腔穿刺」である。胸腔穿刺(緊張性気胸の緊急減圧)は、胸腔内の圧力を減少させ、肺の再膨張を促進し、循環動態を改善するための緊急処置である。
他の選択肢について説明する:
- **b. 低体温療法**:低体温療法は心停止後の脳保護などに使用されるが、この症例では適切ではない。
- **c. 浸透圧利尿薬投与**:浸透圧利尿薬は脳浮腫などに対して使用されるが、この症例には適さない。
- **d. 乳酸リンゲル液大量投与**:輸液は血圧低下に対する初期治療の一部として重要だが、緊張性気胸の緊急処置が優先される。
- **e. 非侵襲的陽圧換気(NPPV)**:NPPVは呼吸不全の治療に使用されるが、緊張性気胸の場合は禁忌であり、悪化させる可能性がある。
したがって、直ちに行うべき治療は「a. 胸腔穿刺」である。