問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 心膜炎
b. 拡張型心筋症
c. 高血圧緊急症
d. 不安定狭心症
e. 閉塞性肥大型心筋症
この患者の症状、身体所見、検査結果から、診断は **c. 高血圧緊急症** が最も適切である。
理由として以下の点が挙げられる:
- 患者は**呼吸困難**を主訴としており、血圧は非常に高く(190/116 mmHg)、左右差はない。これは重度の高血圧による心不全の徴候である。
- **頸静脈怒張**と両側肺野の**coarse crackles**(粗いラ音)は、うっ血性心不全の徴候として典型的である。
- 血液検査では、BNPが**非常に高値(1820 pg/dL)**であり、これは心不全の存在を強く示唆する。
- 心エコーで心収縮能が正常であり、弁膜症も認められないため、心収縮能の低下や弁膜症が原因ではないことがわかる。
他の選択肢について:
- **a. 心膜炎**:心膜炎では通常、胸痛が主症状であり、心膜摩擦音が聴取されるが、この症例にはそのような特徴がない。
- **b. 拡張型心筋症**:心収縮能が正常であることから、拡張型心筋症の可能性は低い。
- **d. 不安定狭心症**:心筋トロポニンTが陰性であり、心筋虚血を示す兆候がないため、この診断は可能性が低い。
- **e. 閉塞性肥大型心筋症**:心エコーで肥大型の所見が認められていないため、この診断は該当しない。
したがって、正解は **c. 高血圧緊急症** である。