問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 胆管癌
b. 十二指腸乳頭部腫瘍
c. 膵・胆管合流異常症
d. 粘液性囊胞腫瘍〈MCN〉
e. 膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉
この症例において、診断は **e. 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)** であると考えられる。
理由として以下の点が挙げられる:
- **膵管拡張**:人間ドックの腹部超音波検査で膵管拡張が指摘されており、これはIPMNの特徴的な所見である。
- **MRCP**(磁気共鳴胆管膵管撮影)で膵管の拡張が見られる場合、IPMNが疑われることが多い。IPMNは膵管内に粘液を分泌する腫瘍であり、膵管の拡張や粘液の存在が診断の手がかりとなる。
- **糖尿病の既往**:IPMNは高齢者や糖尿病患者でしばしば見られる。
他の選択肢について:
- **a. 胆管癌**:胆管の拡張が主で、膵管拡張は通常見られない。
- **b. 十二指腸乳頭部腫瘍**:乳頭部腫瘍は膵管や胆管の閉塞を引き起こすが、この症例では膵管の拡張が主な所見であり、乳頭部腫瘍の可能性は低い。
- **c. 膵・胆管合流異常症**:膵・胆管の解剖学的異常に起因する病態だが、この症例の特徴とは一致しない。
- **d. 粘液性囊胞腫瘍(MCN)**:MCNは膵尾部に好発し、膵管との連続性がないことが特徴であり、この症例では膵管拡張が認められているため、可能性は低い。
したがって、最も考えられる診断は **e. 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)** である。