64 歳の男性。定期受診で来院した。 8 年前に糖尿病、 1 年半前に急性前壁心筋梗塞を発症し慢性心不全と診断され自宅近くの診療所に通院している。アスピリン、アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬、カルベジロール、スピロノラクトン、スタチン及びプロトンポンプ阻害薬を内服している。定期受診時に浮腫を認めた。意識は清明。身長 170 cm、体重 80 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 84/分、整。血圧108/76 mmHg。SpO₂ 98 %(room air)。皮膚は湿潤。頸静脈の怒張を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢末梢に冷感を認めない。両下腿に浮腫を認める。尿所見:蛋白(-)、糖 1 +。血液所見:赤血球 436 万、Hb 13.2 g/dL、白血球 8,000、血小板 28 万。血液生化学所見:総ビリルビン 1.2 mg/dL、AST 48 U/L、ALT 42 U/L、CK 72 U/L(基準 59~248)、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖 124 mg/dL、HbA1c 6.9 %(基準 4.9~6.0)、LDL コレステロール 80 mg/dL、Na 132 mEq/L、K 4.8 mEq/L、BNP 216 pg/mL(基準 18.4 以下)。CRP 0.8 mg/dL。12 誘導心電図を別に示す。胸部エックス線写真で心陰影の拡大と軽度のうっ血を示す。心エコー検査で駆出率 42 %、前壁の菲薄化を認め、下大静脈径の増大と呼吸性変動の低下を認める。

予後を改善するために追加すべき薬剤はどれか。

a. α 遮断薬

b. ベラパミル

c. SGLT2 阻害薬

d. スルホニル尿素薬

e. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)