問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. IgA 腎症
b. 膜性腎症
c. 多発性囊胞腎
d. 微小変化型ネフローゼ症候群
e. 特発性半月体形成性糸球体腎炎
最も考えられるのは**b. 膜性腎症**である。
解説:
この74歳の女性は、無症状にもかかわらず、持続的な蛋白尿がみられ、尿蛋白/クレアチニン比が高値(2.5 g/gCr)を示している。さらに、軽度の浮腫があり、尿沈渣では顆粒円柱や幅広円柱が確認されることから、ネフローゼ症候群に類似した病態が考えられる。膜性腎症は、特に高齢者において最も一般的なネフローゼ症候群の原因の一つであり、無症状の蛋白尿や軽度の浮腫を呈することが多い。
他の選択肢:
- **a. IgA腎症**は、通常、血尿が目立ち、蛋白尿は比較的軽度である。
- **c. 多発性囊胞腎**は、腎嚢胞が超音波で確認されるが、この症例では超音波検査で異常が見られない。
- **d. 微小変化型ネフローゼ症候群**は、若年者に多くみられ、高齢者には少ない。
- **e. 特発性半月体形成性糸球体腎炎**は急性進行性腎炎の一形態であり、急激な腎機能低下と血尿が特徴で、今回の症例とは一致しない。