問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. ジアゼパム
b. ドネペジル
c. パロキセチン
d. ハロペリドール
e. レボドパ〈L-dopa〉
この患者に投与する薬剤として適切なのは**b. ドネペジル**である。
解説:
患者は5年間の物忘れ、道に迷う、日常生活の困難さ、さらには鏡像現象(鏡に映った自分に対する怒り)といった症状を呈しており、これらはアルツハイマー型認知症の典型的な特徴である。改訂長谷川式簡易認知機能評価スケールで11点と低いスコアが示されていることからも、認知機能障害が進行していることがわかる。ドネペジルは、アルツハイマー型認知症の進行を抑えるために使用されるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、認知機能の維持や改善を目的とした治療に用いられる。
他の選択肢:
- **a. ジアゼパム**は不安や緊張を和らげるための薬だが、認知症の症状改善には寄与しない。また、高齢者に対しては副作用としてせん妄のリスクがある。
- **c. パロキセチン**はSSRI系の抗うつ薬であり、うつ病に対して用いられるが、認知症の根本的な治療薬ではない。
- **d. ハロペリドール**は抗精神病薬であり、幻覚や妄想がある場合には使用されることがあるが、この患者の主訴には適していない。
- **e. レボドパ〈L-dopa〉**はパーキンソン病に対する薬であり、この患者の症状には適合しない。