a. 経過観察
b. 血漿交換
c. アシクロビル投与
d. アンピシリン投与
e. 殺細胞性抗癌薬投与
この患者の症例では、発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹、扁桃の白苔、異型リンパ球の増加、肝腫大などの特徴的な所見が認められることから、伝染性単核球症(infectious mononucleosis、IM)の可能性が高い。伝染性単核球症は、主にエプスタイン・バーウイルス(EBV)感染によって引き起こされる疾患であり、異型リンパ球の出現が診断の決め手となる。
患者の白血球増多(特にリンパ球優位)や異型リンパ球の割合の増加、また肝機能障害(AST、ALTの上昇)が認められるため、伝染性単核球症の診断が強く示唆される。治療の基本方針としては、特別な治療を行わずに経過観察することが一般的である。ウイルス感染が原因であるため、通常は自然に回復する。
したがって、この患者への対応として適切なのは **a. 経過観察** である。
他の選択肢の説明は以下の通り:
- **b. 血漿交換**:血漿交換は自己免疫疾患や重篤な感染症の治療に用いられるが、この患者のようなウイルス感染には不適切である。
- **c. アシクロビル投与**:アシクロビルはヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬であるが、EBVに対する効果は限定的で、通常は投与されない。
- **d. アンピシリン投与**:伝染性単核球症において、アンピシリンやアモキシシリンを投与すると発疹が出現することがあり、適切ではない。
- **e. 殺細胞性抗癌薬投与**:白血球増多が認められるが、これは悪性疾患ではなく、ウイルス感染による反応性の変化であるため、抗癌薬は不要である。
このため、最も適切な対応は **経過観察** である。