問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 中咽頭癌
b. 扁桃肥大症
c. 急性喉頭蓋炎
d. 扁桃周囲膿瘍
e. 伝染性単核球症
この患者の症状は、咽頭痛、発熱、口が開けにくい(開口障害)、および飲み込みにくい(嚥下困難)というものであり、これらの症状から最も考えられる診断は **d. 扁桃周囲膿瘍** です。
**扁桃周囲膿瘍**は、急性扁桃炎が進行し、扁桃周囲の組織に膿が溜まった状態で、典型的な症状には以下のものが含まれます:
- 激しい咽頭痛
- 開口障害(顎を開けにくい)
- 嚥下困難
- 発熱
- 片側性の腫れ(場合によっては咽頭の非対称性が見られる)
喉頭蓋炎や伝染性単核球症なども考慮に入れられますが、急激な開口障害や局所的な症状が強いことから、扁桃周囲膿瘍が最も適切な診断です。
他の選択肢について:
- **a. 中咽頭癌**:咽頭痛や嚥下困難が見られることはありますが、癌では通常進行がゆっくりであり、急性の症状とは一致しません。
- **b. 扁桃肥大症**:扁桃肥大自体は慢性的な問題であり、急激な症状の発現は通常伴いません。
- **c. 急性喉頭蓋炎**:急性喉頭蓋炎は生命を脅かす緊急疾患で、喉頭蓋の腫れによる急激な呼吸困難が特徴です。喘鳴や呼吸困難が重要な症状ですが、この患者ではこれらの所見は見られません。
- **e. 伝染性単核球症**:発熱や咽頭痛、扁桃炎を伴うことはありますが、開口障害や急性の膿瘍形成は一般的ではありません。
したがって、最も適切な診断は **d. 扁桃周囲膿瘍** です。