74歳の男性。肺癌の診断で左上葉切除とリンパ節郭清術とを行い入院中である。術後8日目に呼吸困難を訴え発熱も出現した。

現在、身長168cm、体重63kg。体温38.3℃。脈拍116/分、整。血圧106/74mmHg。呼吸数20/分。両側の胸部でfine cracklesを聴取する。

血液所見:赤血球418万、Hb 11.4g/dL、Ht 35%、白血球15,300(桿状核好中球10%、分葉核好中球70%、好酸球2%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球14%)、血小板13万、Dダイマー0.8μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.5mg/dL、AST 35IU/L、ALT 16IU/L、LD 420IU/L(基準176~353)、ALP 127IU/L(基準115~359)、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。CRP 15mg/dL。動脈血ガス分析(マスク8L/分酸素投与下):pH 7.25、PaCO2 35Torr、PaO2 84Torr、HCO3- 15mEq/L。術前の胸部エックス線写真と胸部CT及び術後8日目の胸部エックス線写真と胸部CTとを別に示す。心エコー検査で、左室壁の運動は良好であり心機能低下を認めない。

可能性の高い疾患はどれか。

a. 膿胸

b. 無気肺

c. 気管支断端瘻

d. 肺血栓塞栓症

e. 急性呼吸促迫症候群(ARDS)

問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)