問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
77 歳の女性。持続性の上腹部痛を主訴に来院した。3か月前から食欲不振を認め、精査の結果、胃癌とその肝転移であると診断された。抗癌化学療法などの積極的な治療を希望せず、経過観察することとなった。3週間前から上腹部痛が出現し、次第に増強した。外来で非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>が投与され一時的に疼痛は軽減したが、2日前から再び増悪したため受診した。疼痛コントロール目的でオピオイドの投与を開始することとなった。
対応として適切なのはどれか。
a. 緩下薬を併用する。
b. 持続的皮下投与を行う。
c. NSAIDs の投与を中止する。
d. 悪心が出現した場合は中止する。
e. 神経障害性痛治療薬を併用する。
終末期患者に対する緩和医療。
鎮痛薬使用の5原則・三段階除痛ラダーの知識を問う問題。
5原則
経口的に(by mouth)
時刻を決めて規則正しく(by the clock)
除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)
患者ごとの個別的な量で(for the individual)
その上で細かい配慮を(with attention to detail)
a 正解。オピオイドの副作用として便秘と下痢を認める。
オピオイドによる副作用(便秘) - がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)
b 経口でby mouth
c NSAIDsも継続
d 制吐剤の併用をする
e 本症例では神経性疼痛は認めない。