58歳の男性。筋力低下と嚥下困難とを主訴に来院した。

現病歴:1か月前から階段を昇るときに手すりが必要になった。1週間前から固形物を飲み込むのが難しくなり、昨日、洋式トイレで妻の助けがないと立ち上がる ことができなかったため受診した。

既往歴:10 年前から高血圧症で内服治療中。

家族歴:特記すべきことはない。

現症:意識は清明。身長 176 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 138/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air) 。両肘頭に軽度の紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢近位筋に左右対称性の把握痛と徒手筋力テストで3~4の筋力低下とを認める。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。

検査所見:血液所見:赤血球 504 万、Hb 15.8 g/dL、Ht 45 %、白血球 7,700、血小板 35 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 96 U/L、ALT 112 U/L、CK 2,380 U/L(基準 30〜140)、Na 139 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 108 mEq/L。胸腹部 CT に異常を認めない。右大腿腿部 MRI の T1 強調像と T2 強調像とを別に示す。


この患者でみられる症状はどれか。2つ選べ。

a. 物が二重に見える。

b. つま先立ちができない。

c. 仰臥位で頭が持ち上がらない。

d. 電車の網棚に荷物が載せられない。

e. 睡眠を十分にとると筋力が正常化する。

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この患者の電気生理学的検査所見で正しいのはどれか。

a. 針筋電図における安静時自発電位

b. 表面筋電図におけるミオトニー放電

c. 運動神経伝導検査における時間的分散

d. 反復性誘発筋電図における waning 現象

e. 感覚神経伝導検査における伝導速度の遅延

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この患者に最初に投与すべき薬剤はどれか。

a. ネオスチグミン

b. プレドニゾロン

c. ビタミン B12 製剤

d. レボフロキサシン

e. 免疫グロブリン製剤

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)