問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
52 歳の女性。複視の精査と治療のため入院中である。2か月前から夕方に車を運転しているとセンターラインが二重に見えるようになり、1か月前から右のまぶたが開けにくくなってきた。自宅近くの医療機関を受診し、頭部 MRI で異常がないと説明されたが、症状が改善しないため受診した。
来院時、右側に眼瞼下垂を認め、右眼の外転が軽度制限されていた。両上肢の近位筋にも軽度の筋力低下がみられた。エドロホニウムテスト陽性。抗アセチルコリン受容体抗体 50.0 nmol/L(基準 0.3 以下)。抗コリンエステラーゼ薬を処方されたが、症状が改善しないため入院した。胸部造影 CTを別に示す。
最も適切な対応はどれか。
a. 放射線療法
b. 縦隔リンパ節生検
c. ステロイドパルス療法
d. 胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術
e. 抗コリンエステラーゼ薬増量
重症筋無力症の症例。
胸腺腫が疑われる場合、特に症状が抗コリンエステラーゼ薬で改善しない場合には、拡大胸腺摘出術が推奨されている。
この手術によって症状が軽減され、病状の管理がしやすくなることが報告されている。