問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
71歳の女性。労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した。約 10 年前に COPD と診断された。 1年前からⅡ型呼吸不全をきたしたため在宅酸素療法(1L/分)を行っている。前回外来診察時には呼吸数 20/分、SpO2 94 % (鼻カニューラ 1L/分酸素投与下)であった。数日前より労作時呼吸困難が悪化したため、家族に付き添われて受診した。外来待合室で 30 分くらい前から居眠りをしていた。付き添いの家族が呼びかけに応答しないことに気付いて、看護師に声をかけた。
脈拍 104/分、整。血圧 144/92 mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 91 %。吸入酸素量を確認したところ、 5L/分であった。家族によると、タクシーを降りてから待合室まで歩行したところ、呼吸が苦しくなったので本人が酸素量を増やしたとのことであった。
現時点で必要ないのはどれか。
a. 静脈路確保
b. 気管挿管の準備
c. 動脈血ガス分析
d. 心電図モニター装着
e. リザーバー付マスクによる酸素投与
COPD患者のCO2ナルコーシスの症例。高濃度酸素は増悪させる可能性あり禁忌。