81歳の女性。倦怠感と食欲不振を主訴に来院した。
現病歴:4年前に子宮頸癌と診断され、放射線治療を受けたが、1年前に再発した。患者の希望により追加の治療は行わず経過観察とされていた。3か月前から不正性器出血がみられ、食欲不振が出現した。また、肛門周囲の痛みも出現し、オピオイドを内服していた。1か月前から徐々に身の回りのことができなくなってきた。支えがあればポータブルトイレに移乗できたが、ふらつきが強く徐々に難しくなってきており、現在はオムツ内排泄の状態である。倦怠感が強く、食欲も低下し、水分のみ摂取可能である。悪心はあるが、嘔吐はない。
生活歴:喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。夫(84 歳)と2人暮らし。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長 153 cm、体重 42 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 128/76 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に中等度の圧痕性浮腫を認める。
検査所見 : 尿はオムツ内排泄のため検査できず。血液所見:赤血球 348 万、Hb 10.4 g/dL、Ht 32 %、白血球 8,800、血小板 21 万。血液生化学所見:総蛋白 6.3 g/dL、アルブミン 2.0 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 13 U/L、ALT U/L、LD 182 U/L(基準 176〜353)、γ-GTP 12 U/L(基準 8〜50)、CK 42 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 86 mg/dL、クレアチニン 6.1 mg/dL、尿酸 10.7 mg/dL、血糖 104 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 5.3 mEq/L、Cl 101 mEq/L、Ca 7.6 mg/dL。心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比 53 %。
次に行うべきなのはどれか。
a. 膀胱鏡検査
b. 急速大量輸液
c. 排泄性尿路造影
d. 腹部超音波検査
e. カリウム吸着剤の注腸
子宮頸癌→尿管閉塞→腎後性腎不全と思われる。
水腎症等を確認するため超音波検査が有用である。
入院し加療を行ったところ、腎機能障害は改善したが、原疾患の進行により患者は終日ベッドに臥床し、ほぼ全ての日常生活動作に介助が必要な状態となった。本人と家族は介護保険の利用を希望している。
退院にあたり行う説明として、正しいのはどれか。
a. 「認定された介護サービスの必要度に応じて保険給付を受けられます」
b. 「申請手続きは都道府県の担当者に代行してもらえます」
c. 「訪問看護は介護保険では利用できません」
d. 「入院中は介護保険の申請ができません」
e. 「手すりの設置は介護保険の適用外です」
常識的に考えましょう。