46歳の女性。腹痛のため救急外来を受診した。

現病歴:2日前の起床時から軽度の心窩部痛があった。朝食は普段どおりに食べたが、その後食欲不振と悪心が出現し、昨日の昼食後に嘔吐した。本日、心窩部痛はなくなったが右下腹部痛が出現した。疼痛は食事で増悪しないが、歩くとひびき、疼痛が持続するため救急外来を受診した。悪寒戦慄はなく、下痢や黒色便を認めない。排尿時痛や血尿を認めない。3日前にバーベキューをしたが、同様の症状を呈した人は周りにいない。

既往歴:20 歳時にクラミジア感染。

生活歴:喫煙は 20 本/日を 26 年間、飲酒はビールを 350 mL/日。初経 13 歳、月経周期は 28 日型、整。最終月経は2週間前。不正性器出血はない。


救急科の研修医が腹部の診察を行う際の対応として適切なのはどれか。

a. 「腹部の診察は服の上から行います」

b. 「先に婦人科に診察をしてもらいましょう」

c. 「診察の前に腹部の CT 検査を受けてもらいます」

d. 「まず私一人で腹部の診察を始めてもよろしいでしょうか」

e. 「腹部の痛いところから触診しますので、痛む場所を教えてください」

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現症:意識は清明。身長 154 cm、体重 65 kg。体温 37.6 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 110/62 mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 99 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。McBurney 点に圧痛があり、反跳痛を認める。Psoas 徴候は陰性。

検査所見:尿所見:異常なし。血液所見:赤血球 394 万、Hb 11.5 g/dL、Ht 36 %、白血球 5,300(桿状核好中球 6 %、分葉核好中球 56 %、単球 10 %、リンパ球 28 %)、血小板 30 万。血液生化学所見:尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、血糖 86 mg/dL、Na 139 mEq/L、 K 3.9 mEq/L、Cl 105 mEq/L。CRP 4.0 mg/dL。妊娠反応陰性。心電図、胸部・腹部エックス線写真に異常を認めない。

急性虫垂炎の診断のため Alvarado score を使用することとした。点数別の感度・特異度を以下に示す。解釈として正しいのはどれか。

a. この時点で虫垂炎と確定診断できる。

b. この診断基準の感度と特異度は有病率の影響を受ける。

c. 虫垂炎の確定診断のために追加の検査が必要である。

d. Alvarado score が高いほど、虫垂炎の重症度が低い。

e. Alvarado score が低いほど、確定診断に適している。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)