75歳の男性。呼吸困難を主訴に受診した。
現病歴:3日前に飛行機で1泊2日の旅行をし、2日前に帰宅した。機内では約3時間座っていた。帰宅した翌日に右下肢のむくみと痛みが出現した。受診日の朝起床後に急に労作時の息切れが出現したため、受診した。受診時、呼吸困難を訴えている。
既往歴:60歳時に進行胃癌で胃全摘を受けた。術後5年間再発なく、通院終了となった。70歳から高血圧症、糖尿病に対し、降圧薬、経口血糖降下薬を内服中。
アレルギー歴:特記すべきことはない。
生活歴:喫煙は40本/日を40年間、 15年前に禁煙。飲酒は日本酒1合を週1回。妻と2人暮らし。偏食はない。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長 162 cm、体重 60 kg。体温 36.1℃。脈拍 112 /分、整。血圧 90/55 mmHg、左右差はない。呼吸数 28/分。SpO₂ 91 % (room air)。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。口腔内と咽頭に異常を認めない。頸静脈怒張を認める。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、正中に手術痕を認める。右下腿は腫脹しており、圧痕性浮腫、熱感および発赤を認める。両側足背動脈は触知良好である。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 250万、Hb 8.4 g/dL、Ht 33 %、MCV 132 fL、白血球 10,200(好中球 80%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 2%、リンパ球 16%、好中球の核過分葉を認める)、血小板 10万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1) 、APTT 31.6 秒(基準対照 32.2)、Dダイマー 2.3 μg/mL(基準 1.0 以下)。血液生化学所見:総ビリルビン 1.0 mg/dL、AST 21 U/L、ALT 9 U/L、LD 306 U/L(基準 120~245)、ALP 187 U/L(基準 115~359)、CK 60 U/L(基準 30~140)、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、血糖 114 mg/dL、HbA1c 6.9%(基準 4.6~6.2)、Na140 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 105 mEq/L、Ca 8.4 mg/dL。CRP 2.9 mg/dL。
心電図及び胸部エックス線写真を別に示す。
診断はどれか。
a. 急性冠症候群
b. 脂肪塞栓
c. 心膜炎
d. 大動脈解離
e. 肺血栓塞栓症
自明
入院後呼吸状態が安定した。病棟内歩行を再開したところ、洗面所で洗顔時に転倒した。詳しく問診すると、以前から、夜間に暗い場所ではふらつくようなことがあったという。
予想される診察所見はどれか。
a. 静止時振戦
b. 眼球運動障害
c. Horner徴候陽性
d. Romberg徴候陽性
e. Chvostek徴候陽性
胃全摘後→ビタミンB12欠乏→亜急性連合性脊髄変性症