87歳の女性。両側下腿浮腫を主訴に夫と息子夫婦とともに来院した。

現病歴:約半年前から両側下腿浮腫が出現し、自宅近くの医療機関で少量の利尿薬を処方されていた。3か月前から下腿浮腫の悪化のため歩きにくくなり、労作時の息切れも感じるようになった。2週間前からは食欲低下も著しくなったため受診した。

既往歴:下腿浮腫に対して少量のループ利尿薬を処方されている。

生活歴:夫(94歳)と2人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。

家族歴:妹が悪性リンパ腫であった。

現症:意識は清明。身長153cm、体重45kg。体温36.7℃。脈拍72/分、整。血圧152/70mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。頸静脈の怒張を認める。心音はLevine 2/6の全収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は肋骨弓下に肝臓を 1cm触知する。下腿浮腫を両側に認めるが熱感や圧痛はなく、圧迫により生じる圧痕は圧迫を解除すると戻る。四肢に明らかな麻痺を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球 350万、Hb 8.1 g/dL、Ht 27%、白血球 7,800。血液生化学所見:総蛋白 5.1 g/dL、アルブミン 2.5 g/dL、AST 40 U/L、ALT 50U/L、LD 282 U/L(基準 120~245)、CK 70 U/L(基準 30~140)、尿素窒素 19 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、血糖 93 mg/dL、HbA1c 5.6%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 160 mg/dL、トリグリセリド166 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 108 mEq/L、Ca 7.5 mg/dL、Fe 10 μg/dL、TSH 3.6(基準0.2~4.0)、FT3 2.4(基準2.3~4.3)、FT4 0.9(基準 0.8~2.2)、BNP 110 pg/mL(基準 18.4以下)。CRP 0.2 mg/dL。12誘導心電図で完全右脚ブロックを認める。胸部エックス線写真で心胸郭比50%、肺血管影の増強はなく、両側の肋骨横隔膜角の鈍化を認める。


浮腫の原因で可能性が高いのはどれか。2つ選べ

a. 腎性

b. 心性

c. 炎症性

d. 内分泌性

e. 低蛋白性

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貧血の原因精査のために便潜血検査を行うことにした。

自宅での検体採取に関する患者への説明で適切なのはどれか。

a. 「この検査は5日間連続で行います」

b. 「できるだけ多く採取してください」

c. 「容器に入れた便は室温で1週間保存可能です」

d. 「採取前日の20時以降は食事をしないでください」

e. 「1回の排便につき1つの容器に採取してください」

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便潜血検査の結果が陽性であったため下部消化管内視鏡検査を行ったところ大腸癌と診断された。入院して腹腔鏡下手術を行い、術後経過は順調で退院予定である。退院前に高齢者総合機能評価〈CGA〉を行った。

評価すべきこととして適切でないのはどれか。

a. 聴力

b. 認知機能

c. 運動機能

d. 気分・意欲

e. 基本的日常生活動作〈ADL〉

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)