50歳の女性。発熱を主訴に来院した。

現病歴:3か月前に大腸癌と診断され、左鎖骨下静脈に中心静脈ポートを造設し外来で抗癌化学療法を行っていた。3日前から悪寒を伴う発熱を認め、改善しないため来院した。

既往歴:3か月前の大腸癌の診断以外に特記すべきことはない。

生活歴:ADLは自立しており夫と2人暮らし。喫煙歴、飲酒歴はない。

家族歴:母親が乳癌で死亡している。

現症:意識は清明。身長 157cm、体重 52kg。体温 38.3℃。脈拍 102/分、整。血圧 134/76mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様であり、眼球結膜に黄染はない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心尖部にLevine 2/6の全収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。肋骨脊柱角〈CVA〉叩打痛を認めない。下腿に浮腫や圧痛を認めない。左鎖骨下の中心静脈ポート造設部に発赤と疼痛を認める。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球 360万、Hb 8.5g/dL、Ht 26%、白血球 11,000(好中球 84%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 8%)、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 2.9 g/dL、総ビリルビン 1.0 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 42 U/L、ALT 58 U/L、LD 321 U/L(基準 120~245)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 133 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 12 mg/dL。心エコー検査で中等度の僧帽弁逆流を認める。疣贅は認めない。血液培養検体を2セット採取したのちに入院した。左鎖骨下の中心静脈ポートを抜去し、抗菌薬治療を開始した。

入院翌日に2セットの血液培養検体の両方から、グラム陽性のクラスター様に集簇する球菌が検出された。


最も可能性が高い原因微生物はどれか。

a. Clostridium perfringens

b. Enterococcus faecalis

c. Haemophilus influenzae

d. Staphylococcus aureus

e. Streptococcus mitis

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入院3日目も発熱は持続し、臥位での呼吸困難を訴えるようになった。足趾には疼痛を伴う発疹が出現した。

次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

a. 頭部CT

b. 血液培養

c. 尿一般検査

d. 呼吸機能検査

e. 心エコー検査

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中心静脈ポートの再造設に際して誤っているのはどれか。

a. 血液培養の陰性化を確認後に行う。

b. 抜去した部位を避けて造設する。

c. 明らかな静脈閉塞がない部位を選択する。

d. 新しい中心静脈ポートを抗菌薬に浸してから留置する。

e. 造設後にエックス線写真で位置を確認する。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)