28 歳の男性。腹痛を主訴に来院した。

現病歴:昨日から臍部を中心とした腹痛が出現し、その後、悪心、食欲不振を伴うようになった。今朝になって痛みが右下腹部に移動し、悪化したため受診した。

既往歴:5 歳時に右鼠径ヘルニアで手術。

生活歴:妻、子ども( 3 歳)と同居。公務員。喫煙歴と飲酒歴はない。

家族歴:父が 58 歳時に脳梗塞を発症。

現症:意識は清明。身長 176 cm、体重 68 kg。体温 37.0 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 128/76 mmHg。呼吸数 18/分。SpO₂ 97 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、右下腹部に圧痛を認めるが反跳痛は認めない。四肢に異常を認めない。

検査所見:血液所見: 赤血球 360 万、Hb 12.1 g/dL、Ht 38 %、 白血球 10,200(好中球 85 %、好酸球 1 %、好塩基球 1 %、単球 2 %、リンパ球 11 %)、血小板 28万。血液生化学所見:AST 16 U/L、ALT 18 U/L、LD 178 U/L(基準 120~245)、ALP 106 U/L(基準 38~13)、 尿素窒素 12 mg/dL、 クレアチニン 0.6 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 102 mEq/L。CRP 2.6 mg/dL。

急性虫垂炎の診断スコアを表 1 に、その診断スコア合計点別の尤度比を表 2 に示す。


若年男性の急性の腹痛における急性虫垂炎の有病率が 50 % である場合、この患者における急性虫垂炎の確率はどれか。

a. 41 %

b. 50 %

c. 62 %

d. 75 %

e. 90 %


指導医から抗菌薬を点滴投与するよう指示があり、研修医が末梢静脈路の確保を行ったが、患者に刺した留置針を誤って自分の指に刺してしまった。流水で十分に洗い流した。これまで当該患者のこの医療機関への受診歴はない。

この研修医に対して行う血液検査の項目として誤っているのはどれか。

a. HA 抗体

b. HBs 抗原

c. HBs 抗体

d. HCV 抗体

e. HIV 抗原・抗体

解答を見る
問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)