56 歳の女性。乾性咳嗽と呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。
現病歴 :昨日 38.3 ℃の発熱、本日、乾性咳嗽と呼吸困難が出現したため救急車を要請した。① 2 日前に同居している 21 歳の息子が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した。②息子の陽性が判明した時点で、本人は無症状だったが自宅にあった③鼻腔ぬぐい液の新型コロナウイルス〈SARS-CoV-2〉抗原定性検査を自身で行い、陰性だったという。
既往歴 : ④48 歳から高血圧症で降圧薬を内服している。 新型コロナ(SARSCoV-2)ワクチンは未接種。
生活歴 :⑤無職。21 歳の息子と 2 人暮らしで、最近 1 週間は朝食と夕食をともにしていた。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴 :息子が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
現症 :意識は清明。身長 158 cm、体重 65 kg。体温 38.5 ℃。心拍数 110/分、整。血圧 148/94 mmHg。呼吸数 20/分。SpO₂ 100 %(マスク 5 L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に軽度発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部と四肢とに異常を認めない。
検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 400 万、Hb 12.6 g/dL、Ht 38 %、 白血球 6,800、 血小板 11 万、PT-INR 1.1(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:LD 236 U/L(基準 120~245)、尿素窒素 26 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、血 糖 98 mg/dL、Na 141 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 102 mEq/L。CRP 3.0 mg/dL。心電図で異常を認めない。
下線部のうち、この患者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の事前確率が高くなる情報はどれか。
a. ①
b. ②
c. ③
d. ④
e. ⑤
常識的に考えましょう。
搬入時に再度施行した鼻咽頭ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス〈SARSCoV-2〉抗原定性検査は陰性だった。
次に行うべき最も優先度の高い検査はどれか。
a. 新型コロナウイルス〈SARS-CoV-2〉PCR 検査
b. インフルエンザウイルス迅速抗原検査
c. アデノウイルス迅速検査
d. マイコプラズマ迅速検査
e. RS ウイルス迅速検査
同居者が新型コロナウイルス陽性であるので、検査前確率は高め。
抗原検査は感度が低いので、感度の高いPCR検査をしましょう。