23歳の男性。陰茎の潰瘍を主訴に来院した。
現病歴:1週間前に陰茎に潰瘍が出現し、次第に拡大するため受診した。潰瘍部に疼痛はない。頻尿や排尿時痛もない。
既往歴:14 歳時に肺炎球菌性肺炎。アンピシリン/スルバクタム投与後に血圧低下と全身の皮疹を認めた。
生活歴:喫煙は20本/日を3年間。飲酒は機会飲酒。不特定多数の相手と性交渉がある。
現症:意識は清明。身長 170 cm。体重 74 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 128/68 mmHg。呼吸数 12/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。陰茎に潰瘍を認める。
検査所見:赤沈 32 mm/ 時間。血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.3 g/dL、Ht 42 %、白血球 9,900(桿状核好中球 14 %、分葉核好中球 66 %、好酸球 %、好塩基球 3 %、単球 9 %、リンパ球 6 %)、血小板 20 万。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、Na 137 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 105 mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.2 mg/dL、抗 HIV 抗体スクリーニング検査陰性、尿中クラミジア抗原陰性、RPR 32 倍(基準 80倍未満)、TPHA 80 倍未満(基準 80 倍未満)。
潰瘍部の写真を別に示す。 適切な抗菌薬はどれか。
陰部画像。潰瘍を認める陰茎画像。クリックで拡大します。
a. セフェム系
b. キノロン系
c. ペニシリン系
d. カルバペネム系
e. テトラサイクリン系
梅毒患者。写真は硬性下疳。
第1選択薬はペニシリン系であるが、アンピシリンによるアナフィラキシーショック歴があるため使いにくい。
第2選択薬のテトラサイクリン系が正解。
1か月後にトレポネーマ抗体値の上昇を認めた。今後の治療効果判定に最も有用な検査はどれか。
a. CRP
b. RPR
c. TPHA
d. 赤沈
e. 白血球数
RPRは現在の梅毒感染の活動性を示す。
TPHAは梅毒感染の既往を示す。