39 歳の女性。動悸と息切れを主訴に来院した。

現病歴:半年前から月経量が増え、 3 か月前から階段昇降時に動悸と息切れを自覚するようになったため受診した。

既往歴:特記すべきことはない。

生活歴:会社員。一人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。

家族歴:特記すべきことはない。

月経歴:初経 13 歳。周期 28 日型、持続 10 日間。

現症:意識は清明。身長 154 cm、体重 57 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 126/80 mmHg。呼吸数 18/分。SpO₂ 98 %(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。

肝・脾を触知しない。下腹部は軽度膨隆している。内診で、径 10 cm の腫瘤を触知する。神経診察で異常を認めない。

ある論文に掲載されている眼瞼結膜所見別の貧血患者数の表を示す。


眼瞼結膜の身体所見から貧血を診断する場合、この患者の貧血診断における尤度比を求めよ。

a. 0.2

b. 0.7

c. 1.0

d. 2.3

e. 4.3


血液検査を行ったところ、以下の結果が得られた。

血液所見:赤血球 371 万、Hb 8.5 g/dL、Ht 29 %、白血球 4,100、血小板 29 万。 血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、アルブミン 4.5 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/ dL、AST 32 U/L、ALT 32 U/L、LD 173 U/L(基準 120~245)、ALP 106 U/L(基準 38~113)、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 93 mg/dL、総コレステロール 189 mg/dL、Na 139 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 102 mEq/L。 CRP 0.7 mg/dL。

この患者で認めるのはどれか。

a. 血清鉄高値

b. 網赤血球数低値

c. 血清フェリチン低値

d. 血清不飽和鉄結合能低値

e. トランスフェリン飽和度高値

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)