問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
28 歳の男性。ふらつきを主訴に家族に伴われて来院した。高校在学中に不登校となり、そのまま自宅2階の自室に引きこもるようになった。高校は退学となり、仕事には就かず1日中カーテンを閉め切ってオンラインゲームに熱中していた。食事は母親が自室の前に提供していたが偏食が激しい。3か月前から夜にコンビニエンスストアに出かける際に暗いところで歩行が左右にふらついていることに家族が気付いていた。立ちくらみはなく、日中はトイレに行くときに見かけるのみだが、ふらつきはみられないという。喫煙歴と飲酒歴はない。
眼瞼結膜に貧血はなく、心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察では眼球運動は正常で眼振を認めない。指鼻試験および膝踵試験に異常を認めない。不随意運動はみられない。腱反射は全般に低下しており起立閉眼で体幹の動揺が増強する。
ビタミン B12 とともにこの患者の症状の原因と考えられる不足栄養素はどれか。
a. 鉄
b. 銅
c. 葉酸
d. ビタミン D
e. マグネシウム
正答率2%のクソムズ問題。
この症例は、偏食によるビタミンB12欠乏を原因とした亜急性連合性脊髄変性症の症例。
この問題は、欠乏により亜急性連合性脊髄変性症を引き起こす栄養素を選ぶ問題。銅欠乏により亜急性連合性脊髄変性症と同様な症状がでることが知られているので、正解選択肢は銅。
葉酸を選んだ人が多かったみたいですが、通常は葉酸欠乏では神経症状は出ないです。