59歳の男性。1時間持続する前胸部痛のために救急車で搬入された。

現病歴: 1か月前から階段昇降時に前胸部絞扼感を自覚していたが、安静にすると5分間ほどで消失した。本日早朝に前胸部絞扼感で覚醒した。しばらく我慢していたが次第に増強し、自力で歩けなくなったため救急搬送された。

既往歴: 5年前から高血圧症で降圧薬を服用している。

生活歴: 自営業。喫煙は20本/日を39年間。飲酒はビールを500mL/日。

現症: 意識は清明。身長 168 cm、体重 82 kg。体温 36.6 ℃。心拍数 104/分、整。血圧 160/94 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 96 % (room air)。冷汗を伴い、四肢は冷たい。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。

検査所見: 心電図では明らかなST-T変化を認めない。急性心筋梗塞を疑い、心筋トロポニンTを測定することとした。発症からの時間経過から感度は 60%、特異度は 90%であるとする。この患者の検査前確率を 80%と考えたが、結果は陰性であった。


陰性結果にもかかわらず急性心筋梗塞である確率はどれか。

a. 80%

b. 72%

c. 64%

d. 54%

e. 50%


検査の結果は陰性であったが、担当医は病歴や症状から急性冠症候群である可能性が否定できないと判断し、患者にここまでの状況を説明することとした。

担当医が患者にかける言葉の中で、説明内容に対する患者の理解を確認しているものはどれか。

a. 「治療法について何かご希望はありますか」

b. 「今までの説明で分からないことはありますか」

c. 「今後についてご家族に話したほうが良いですか」

d. 「なぜこの病気になってしまったとお考えですか」

e. 「こちらの病院で検査と治療を受けるのでよろしいでしょうか」

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)